「生誕130年記念 川喜田半泥子展」開催のお知らせ
| 会期 |
9月6日(土)〜11月24日(月) |
| 開場 |
高橋由一館 |
| 開館時間 |
午前8時30分〜午後5時(入場は4時30分まで) |
| 入場料 |
大人800円 大・高生400円 中学生以下無料 |
| 主催 |
金刀比羅宮 石水博物館 朝日新聞社 |
川喜田半泥子(1878〜1963)は、三重県津市の素封家で、東京・大伝馬町に寛永年間から続いた木綿問屋の家に生まれ、百五銀行の頭取など財界で活躍する一方、陶芸、書、絵画、俳句、写真などさまざまな芸術分野で才能を発揮しました。とりわけ大正の初年から始めた陶芸は、沈滞していた当時の茶陶の世界に新風を巻き起こし、荒川豊蔵、金重陶陽、三輪休和、三輪壽雪など後に人間国宝となった陶芸家達にも大きな影響をあたえました。
この展覧会は、半泥子の多彩な活動のなかで、もっとも精魂を傾けた陶芸を中心に、書画等を加えた70点で構成しています。陶芸の中でも中心となる茶碗は、井戸、刷毛目、粉引、唐津、志野、瀬戸黒、織部、楽、赤絵など他の作家には見られない多彩なものです。それらの作品には、偉大な素人だからこそ到達できた、なにものにもとらわれない自由でおおらかな、しかも知性と気品溢れる世界があります。また、ほとんどの作品には半泥子自身による銘がつけられています。雅味あふれ、ときにユーモラスなその銘も半泥子作品鑑賞の楽しみです。
「大夢出門(Time is money.)」、「波和遊(How are you )」などの書、自作の句を賛とした絵画を含め、半泥子の破格な芸術の世界をお楽しみ下さい。
*会期中、高橋由一の絵画はフランス国立ギメ東洋美術館へ出展のためご覧になれません。
展示作品一覧
1、井戸茶碗 銘「さみだれ」
昭和16(1941)年頃 千歳山窯 陶器 高8.2 径14.6 個人蔵
箱書 蓋裏:さみだれ ト云 半泥子(花押)
朝鮮の土に井戸釉を施した本格的な井戸茶碗。半泥子が「イヽ茶碗」の条件とした、魅力ある土、明るい釉、轆轤の伸び、削りの味、腰の力の5要素を全て備え、堂々たる風格を漂わせる。熱心な古陶磁研究と轆轤の修練の末に到達した快作といえよう。昭和18年刊行の『千歳山半泥子六六名 鑒』掲載の名碗。
2、井戸茶碗 銘「はしら暦」
制作年不詳 千歳山窯 陶器 高8.5 径16.0 石水博物館蔵
箱書 蓋表:茶 蓋裏:はしら暦ト云 以萩焼の土 千歳窯半泥子(花押)
3、井戸手茶碗 銘「初紅葉」
制作年不詳 千歳山窯 陶器 高8.7 径15.3 石水博物館蔵
箱書 蓋表:茶 自作 蓋裏:初紅葉 ト云 半泥子(花押)
4、焼締茶碗 銘「沖の石」
昭和23(1948)年頃 広永窯 陶器 高8.0 径10.5 個人蔵
箱書 蓋表:茶 蓋裏:沖之石 ト云 以長谷山之土 半泥子(花押)
5、焼締茶碗 銘「さび柿」
制作年不詳 千歳山窯 陶器 高9.0 径15.9 石水博物館蔵
箱書 蓋表:茶 蓋裏:さび柿ト云 半泥子(花押)
6、刷毛目茶碗 銘「一声」
制作年不詳 広永窯 陶器 高6.7 径16.5 石水博物館蔵
箱書 蓋表:茶 自作 蓋裏:一声 ト云 於鳴穂堂 半泥子(花押)
7、粉引茶碗 銘「雪の曙」
制作年不詳 千歳山窯 陶器 高10.0 径14.3 石水博物館蔵
箱書 蓋裏:雪の曙 ト云 半泥子(花押)
轆轤の勢いにまかせたべべら状の口縁、窯変による桃色の肌と施釉時の指跡にのぞく鉄色の素地とのコントラストが見所の一碗。ゆるぎない重厚感と、今にも崩れそうなはかなさを併せ持ち、視点の移動によって様々な表情を見せる。非対称を好む日本文化特有の美学から生み出された造形であり、これこそ「半泥子茶碗」とでもいうべき快作である。
8、粉引手茶碗 銘「夕立」
制作年不詳 陶器 高6.5 径15.0 石水博物館蔵
箱書 蓋表:粉吹手 自作 蓋裏:夕立 ト云 以永登浦之土 半泥子(花押)
9、御本手茶碗 銘「初音」
昭和25(1950)年頃 広永窯 陶器 高8.5 径11.8 個人蔵
箱書 蓋表:茶 蓋裏:初音 ト云 昭和廿五庚寅一月廿三日 時雨之席ひらきに以仁和寺之土 年男 半泥子(花押)
10、白掛茶碗 銘「たつた川」
制作年不詳 広永窯 陶器 高9.3 径12.0 石水博物館蔵
箱書 蓋表:茶 蓋裏:たつた川 ト云 半泥子(花押)
灰釉の上にもみじを貼り付け、さらにその上に白掛けして焼成している。うち何枚かの葉跡に金箔を施して、葉の周囲に川の流れを描き、水面に浮かぶもみじが金銀に輝く晩秋を見事に表現している。半泥子の作品にしては手の込んだ、繊細な表情の一碗であるが、半泥子自身が使い込んだことにより、更に独特の風情が加わった。
11、白掛茶碗 銘「一トめぐり」
制作年不詳 広永窯 陶器 高9.6 径13.1 石水博物館蔵
箱書 蓋表:自作 蓋裏:一トめぐり ト云 巴里ロンドンアメリカを て帰りし此 に 半泥子(花押)
昭和26年の日本陶芸展に日本代表として出品された作品。フランス、イギリス、アメリカを一トめぐりして半泥子の手もとに無事帰還したので、記念に「一トめぐり」の銘をつけ、生涯愛蔵した。胴には彫三島風に菱垣文の箆彫をめぐらせ、長石釉をたっぷりとかけたおおらかな椀形の茶碗である。
12、白掛茶碗 銘「天の川」
制作年不詳 広永窯 陶器 高7.0 径16.0 石水博物館蔵
箱書 蓋表:白がけ 蓋裏:天の川 ト云 半泥子(花押)
13、志野茶碗 銘「おらが秋」
制作年不詳 広永窯 陶器 高9.0 径11.8 石水博物館蔵
箱書 蓋表:捨て石ニ踞して 雲見る 蓋裏:おらが秋 ト云 八十二 半泥子(花押)
産地にこだわらない半泥子の作陶には、あらゆる土、釉薬、焼成方法が自由に混在する。とくにこの一碗は、口をやや沓形にしぼった半筒の器形、光悦風の付高台、志野釉、高火度焼成による灰被のカセた肌など、陶芸の常識に全くとらわれていない。半泥子にしか生み出せない磊落な作品である。箱書には蓋表から裏にかけて「捨石に踞して雲見るおらが秋」の句銘がある。
14、志野茶碗 銘「あつ氷」
制作年不詳 広永窯 陶器 高9.0 径12.0 石水博物館蔵
箱書 蓋表:茶 蓋裏:あつ氷 ト云 半泥子(花押)
半筒の器形、たっぷりとかけた志野釉を指で掻いた正面の一文字、粗い貫入が見所で、まさに「あつ氷」の風情を呈している。一見厚手に見えるが、手取りは軽い。高台周辺の広めの土見せには緋が入っており、藁を巻いて焼成を試みたと考えられる。古稀を迎えても探究心に衰えを見せない、広永窯時代の名碗のひとつ。
15、瀬戸黒茶碗 銘「松ヶ根」
昭和16(1941)年 千歳山窯 陶器 高9.0 径13.5 個人蔵
箱書 蓋裏:松ヶ根 ト云 半泥子(花押)
半筒形で腰が極めて低く、高台付近は白い土を見せ、胴には挟み跡が残る。瀬戸黒茶碗の要素を全て兼ね備えた完成度の高い一碗。銘の「松ヶ根」は、天正年間に黒茶碗が焼かれていた美濃の尼ヶ根窯と、半泥子自邸の千歳山を象徴する松をかけたものと考えられており、桃山陶芸の復興に一助を担った半泥子らしい作品である。
16、織部黒茶碗 銘「暗香」
制作年不詳 千歳山窯 陶器 高8.4 径12.5 個人蔵
箱書 箱表:引出し黒 梅画有 箱裏:暗香 ト云 半泥子(花押)
総釉の引出黒。腰を大きく張らせ、胴をしぼり、口辺をやや沓形に成形した織部茶碗である。高台は小さく低い。正面には川喜田家の家紋でもある梅鉢文形に長石釉が施されている。銘の「暗香」とは、暗闇にどこからともなく漂ってくる香りのこと。轆轤目が美しい漆黒の見込みには、吸い込まれそうな深みがある。
17、織部黒茶碗 銘「ヘイナイ」
昭和16(1941)年頃 千歳山窯 陶器 高8.7 径13.3 個人蔵
箱書 蓋裏:ヘイナイ ト云 半泥子(花押)
18、黒織部茶碗 銘「富貴」
昭和15(1940)年頃 千歳山窯 陶器 高6.5 径15.0 個人蔵
腰を張らせ、胴をしぼり、沓形に形成した大ぶりの織部茶碗であるが、二つの窓絵には菱垣文と梅文を描いており、織部特有の存在感に加え、品の良さを併せ持つ。尾張喜多山翠松園の土。箱は戦火により焼失したが、昭和18年刊行の『千歳山半泥子六六名 鑒』に掲載されており、「富貴」は、半泥子の茶の湯の師・表千家の久田宗也(半牀庵・1884~1946)の命銘であることがわかっている。
19、黒筒茶碗 銘「すず虫」
制作年不詳 千歳山窯 陶器 高10.2 径11.8 個人蔵
箱書 蓋表:黒筒 蓋裏:すヾ虫 ト云 依求贈□□ 世襲タルベシ 半泥子(花押) 昭和三十年八月卅日
織部茶碗に近い創意による半筒形の茶碗で、土見せの窓絵部分には、銀で秋月を、金と銀で月明かりに映える秋草を描く。偶然の産物と思われる黒釉のハネを、秋草にとまる鈴虫に見立てている。半泥子の俳句の世界へとつながる詩情的な一碗であり、半泥子が敬愛してやまなかった江戸中期の陶匠・尾形乾山(1663~1743) の雰囲気が漂う作品である。
20、赤楽大茶碗 銘「閑く恋慕(かくれんぼ)」
制作年不詳 広永窯 陶器 高12.2 径14.0 石水博物館蔵
箱書 蓋表:赤茶 無茶作ト在 自作 蓋裏:閑く恋慕 ト云 半泥子(花押)
これで茶をのむと、あまりの大きさに顔がかくれてしまうことから、この銘がある。無理に大きくしたためか、腰にややひずみが見られる。豪快な胴体にはそぐわない、低く小さい高台がついているが、ほとんどその機能を果たしていない。また記念の茶碗以外では珍しく、高台脇に「無茶作」と彫られている。
21、赤楽茶碗 銘「神路山」
制作年不詳 陶器 高10.5 径12.5 桑名市博物館寄託品
箱書 蓋表:茶 蓋裏:神路山 ト云 半泥子(花押)
22、唐津手茶碗 銘「三笠山」
制作年不詳 広永窯 陶器 高7.0 径16.0 石水博物館蔵
箱書 蓋表:からつ手 自作 蓋裏:三笠山 ト云 半泥子(花押)
23、唐津風茶碗
制作年不詳 陶器 高8.3 径12.3 個人蔵
箱書 蓋表:茶 半泥子(花押)
24、灰釉茶碗 銘「喜び」
昭和29(1954)年 広永窯 陶器 高8.5 径13.8 個人蔵
箱書 蓋裏:喜び ト云 喜寿 半泥子(花押)
25、灰釉茶碗 銘「大吹雪」
昭和24(1949)年 広永窯 陶器 高9.2 径15.7 個人蔵
箱書 蓋表:茶 自作 蓋裏:大吹雪 ト云 以長谷山之土 無茶法師(花押)
「大侘び茶碗」の通称にふさわしく、景色豊かな名碗である。広永窯がある津市郊外の長谷山で採取した小石混じりの土を使い、いわゆるゴソ灰をかけ、正面に指で豪快な弧線を掻き落とした。大胆な高台削り、指跡、釉のちぢれ、石はぜ、雄大な印象の見込みなどが相まって、まさに「大吹雪」の情景を呈している。
26、灰釉茶碗 銘「夜寒」
制作年不詳 広永窯 陶器 高6.2 径14.6 個人蔵
箱書 蓋表:茶 蓋裏:夜寒 ト云 半泥子(花押)
27、灰釉片身変り茶碗 銘「布袋和尚」
制作年不詳 千歳山窯 陶器 高8.3 径12.0 石水博物館蔵
箱書 蓋表:かた身変り 自作 蓋裏:布袋和尚 ト云 此 千歳山時代の作ニて 於東都戦災に会ひしも無事其後千代崎の仮住居に友たりしが今又廣永の鳴穂堂に朝夕愛用す 半泥子(花押)
28、呼継茶碗 銘「ねこなんちゅ」
制作年不詳 陶器 高8.5 径14.0 石水博物館蔵
箱書 蓋表:ねこなんちゅ ト云 蓋裏:美濃大萱なる天正窯のかけ小皿を得て之に千歳山の土もて補ひしを人みな珍 ちんわんといふに依て 無茶法師(花押)
昭和10年代、半泥子は親しく交流していた美濃の陶芸家・荒川豊蔵(1894~1985)の窯を何度か訪ねていた。その折、大萱の窯付近で発見した古瀬戸の陶片を底にして、千歳山の土で焼成した胴部を呼継した珍碗がこの「ねこなんちゅ」である。見た人が皆「珍ワン珍ワン」と言うので、猫に見せたら何というでしょう、という意味の銘。
29、灰釉句入り茶碗 銘「磯の香」
制作年不詳 陶器 高7.2 径13.2 個人蔵
箱書 蓋表:茶 蓋裏:磯の香 ト云 半泥子(花押)
刻銘:礫浦にて 月の道 行けば人なく 磯かほる 半泥子
30、高麗手茶碗 銘「雅茶子(がちゃこ)」
制作年不詳 広永窯 陶器 高11.0 径14.6 石水博物館蔵
箱書 蓋表:茶 以全南咸平面之土 自作 蓋裏:雅茶子 ト申します 半泥子 戯銘
朝鮮半島咸平の土を使用。高麗茶碗や初期の萩焼に見られる割高台を意識してつくった高台が象の足に似ていることから思いつき、戦後上野動物園にいたという象「ガチャコ」から名前をもらった。しかし命銘の達人でもある半泥子が「雅茶子」の漢字をあてることにより、茶の湯の道具としての、重厚な印象を持たせることにも成功している。
31、赤絵茶碗 銘「小倉山」
制作年不詳 千歳山窯 磁器 高8.0 径9.0 個人蔵
箱書 蓋表:赤絵茶 蓋裏:小倉山 ト云 半泥子(花押)
乾山の作品に竜田川文を施した透彫反鉢が何点か確認されているが、白地に金色の葉脈が施された赤、黄、緑の紅葉図が正面に5枚、側面に4枚描かれたこの作品は、乾山を存分に意識した作品といえよう。小ぶりで手取りも軽く、半泥子にしては珍しく、女性的で詩情的な作例である。
32、赤絵茶碗 銘「時計草」
制作年不詳 広永窯 磁器 高8.5 径11.2 個人蔵
箱書 蓋裏:時計草 ト云 半泥子(花押)
半泥子の茶碗としては類例の少ない磁器質の色絵茶碗。胴と見込みの両面に筆が入っている。胴の部分にはT~ のローマ数字が書き巡らされ、腰には3輪の黄色い時計草が伸びやかに描かれている。さらに茶を飲みほせば、見込みには7時を指し示す時計が現れる仕掛けがある。半泥子の遊び心あふれる楽しい作品。
33、赤絵鉢
制作年不詳 広永窯 磁器 高9.0 径17.8 個人蔵
箱書 蓋表:赤絵菓子盂 半泥子(花押)
34、粉引手茶入 銘「伊勢みやげ」
制作年不詳 千歳山窯 陶器 高7.5 径7.0 個人蔵
箱書 蓋表:自作 蓋裏:伊勢みやげ ト云 以祖母懐之土 半泥子(花押)
半泥子の作品には数少ない本格的な茶入。黒灰色で粘りがあり、古来茶入に多くの名品を生んだ瀬戸祖母懐の土を用いている。文琳か茄子、あるいは丸壷のような器形であるが、口は広めにあけている。極めて繊細な薄造りで、内面の轆轤目や糸切も鮮やかである。釉の濃淡と流れ、指跡が独特の景色をつくっている。
35、黒釉茶入 銘「やせ男」
制作年不詳 千歳山窯 陶器 高9.7 径5.5 個人蔵
箱書 蓋表:茶入(花押) 蓋裏:やせ男 ト云
36、四方香合 銘「早春」
制作年不詳 陶器 高3.8 径4.9×5.7 個人蔵
箱書 蓋表:香合 蓋裏:早春 ト云 半泥子(花押)
37、赤絵香合 銘「仏法僧」
制作年不詳 磁器 高5.0 径5.2 個人蔵
箱書 蓋表:赤絵香盒 蓋裏:仏法僧 俗名ハ青葉づくと申す也 半泥子(花押)
38、志野香合
制作年不詳 陶器 高4.3 径4.5 陶器 高4.3 径4.5 個人蔵
箱書 蓋表:香合 半泥子(花押)
39、白掛狸香合
制作年不詳 広永窯 陶器 高9.0 径8.0 個人蔵
40、鉄釉狸香合
制作年不詳 広永窯 陶器 高6.0 径7.0 個人蔵
41、伊賀水指 銘「慾袋(よくぶくろ)」
昭和15(1940)年 千歳山窯 陶器 高18.0 径22.0 石水博物館蔵
箱書 蓋表:古伊賀写 水さし 蓋裏:慾袋 ト云 昭和己亥秋 八十二 半泥子(花押)
古伊賀の風格と圧倒的な存在感を示す半泥子の代表作。半泥子は旧津藩主の藤堂家で、同家伝来の名物・古伊賀水指銘「破袋」(重要文化財・現五島美術館蔵) を拝見する機会があり、それを模して3点を制作したという。そのうちのひとつがこの「慾袋」。本歌にはない青海波文を施した継、ウィットに富んだ銘からは、半泥子の遊び心が伺い知れる。
42、鉄絵水指
制作年不詳 広永窯 陶器 高17.6 径13.9 個人蔵
箱書 蓋表:藤ノ画水指 蓋裏:オランダ写のつもり也 為艸人曾 半泥子作
43、刷毛目片口 銘「冬ざれ」
制作年不詳 広永窯 陶器 高6.3 径10.8 個人蔵
箱書 蓋表:絵からつ手 蓋裏:冬ざれ ト云 半泥子(花押)
44、竹掛花入 銘「ステレンチョ」
昭和16(1941)年頃 竹 高34.0 個人蔵
箱書 蓋表:半泥子作 竹一重切 銘ステレンチョ 蓋裏:此竹元来こたび初めて訪ねたる萩松本の窯元三輪家の薮にありしものなるが紀念ニとて乞ひうけ薮の中にてあるかまゝに切りしもの也 雪堂翁及休雪君見て曰く 昨日迄只の竹なりしに今日ハ美事な花入となる さてさて我れなからぬかれたりといふ 於茲余銘してステレンチョといふ。昔長崎に名も知れぬ珍敷魚海ニて上る 領主高札を建て其名を知れるものに百金を賞すといふ 一人あり「テレスコ」と申しますと出鱈目をいひて百金を得る 其後魚死せるも之を秘してひそかに干魚となし再高札して其名を一般ニ問ふ 先ニテレスコといひて賞されし男又々出頭して魚を見るに先のものと異なりと思ひ「ステレンチョ」といふ。役人大ニ怒り此横着者めがと遂ニ遠島を申渡し特別のお慈恕ニより妻子に面会させしに此男息子ニ曰く 汝成人の後烏賊の干物をスルメと呼ぶなといふ 役人聞きて罪を許し百金を与へしといふ
自然に折れた断面をそのまま景色としていかし、一重切の窓をあけ、背面に「半泥子(花押) 」と朱書している。箱書によれば、萩焼の窯元三輪家を初訪問した記念にと、同家屋敷の藪で切った竹で花入をつくったところ、三輪家の人々が「昨日迄只の竹なりしに今日は見事な花入となる、さてさて我ながらぬかれたり」と言った。このやりとりを、珍魚の名前が鮮魚の時と干魚になった時で変わったという落語の「テレスコ=ステレンチョ」になぞらえてこの銘をつけたという。
45、竹花入 銘「瀧つせ」
制作年不詳 竹 高25.0 個人蔵
46、書 「慶世羅々々」(ケセラセラ)
制作年不詳 紙本墨書・軸装 縦113.0 横20.7 個人蔵
印章:朱文方印「道楽三昧」、朱文方印「莫加耶廬」、白文方印「鳴穂堂」
47、書 「愛夢倶楽通志友」(I‘m glad to see you.)
制作年不詳 紙本墨書・軸装 縦105.3 横22.8 個人蔵
印章:朱文円印「泥佛□窟」、朱文方印「市中天狗」
48、書 「波和遊」(How are you )
昭和36(1961)年頃 紙本墨書・軸装 縦23.2 横84.8 石水博物館蔵
落款:八十三半泥子
49、書 「一日清閑一日福」
昭和28(1953)年 紙本墨書・額装 縦106・3 横28.3 個人蔵
落款:半泥子 印章:朱文方印「無茶法師」
箱書 蓋表:一行 一日清閑 蓋裏:昭和廿八巳八月 泥佛堂半泥子(花押)
50、書 「大夢出門」(Time is money.)
昭和23(1948)年 絹本墨書・額 縦36.5 横117.0 石水博物館蔵
落款:半泥子 印章:白方文印「泥佛堂」
外国語のフレーズを漢字で書き表し、その漢字が持つイメージからもうひとつの意味合いを持たせる、半泥子独特の表現方法。この作品は英語の諺Time is money.(monと略記する場合あり)=「時は金なり」に半泥子流ウィットを加えたもの。畳の上に直接絹本を置いて筆を走らせたため、畳目が影響し、渇筆の趣を加えることとなった。なおこの作品は、昭和23年7月、友人のもとめに応じて揮毫したことが、半泥子の日記に記されている。
51、書 「幽照(ゆうしょう)」
昭和19年(1944) 年頃 紙本墨書・額装 縦59.5 横130.0 百五銀行蔵
落款:為山田支店 半泥子 印章:朱文長方印「千金不賣高自山」、白文方印「泥佛堂本尊」、朱文方印「無茶法師」
52-58、俳句短冊
57、昭和16(1941)年を除き制作年不詳 紙本墨書・短冊 各縦36.2 横6.0 石水博物館蔵
- 52「よき顔の地蔵おはせり夏山路 半泥子」
- 53「寒菊や光悦の文読みかたく 半泥子」
- 54「千歳山眺望 いせの海若葉楓のうへ見る 半泥子」
- 55「つぎし頃のの山しのばれ柿をもぐ 八十二半泥子」
- 56「蓑虫に金箔つけて遊ふ哉 半泥子」
- 57「御前陶車 水引きの茶 に映る紅葉哉 半泥子」
- 58「初めて自庵の登窯を手造りして 窯つけハかまの中まて秋の風 半泥子」
半泥子の俳句の師・梶島一藻(かじしま・いっそう1883~1947)は『ホトトギス』の流れを汲む俳句雑誌『かいつむり』を主宰。半泥子はこの同人となり、当時三重県に居住していた山口誓子(やまぐち・せいし1901~1993)、大阪の松瀬青々(まつせ・せいせい1869~1937) らとも交流した。今回展示した短冊の句うち、「窯つけハ~」「寒菊や~」「よき顔の~」などは、昭和10年代に『かいつむり』中で発表している。
59、干蛸図
制作年不詳 紙本彩色・軸装 縦107.6 横30.2 個人蔵
賛:月の道ゆけば人なく磯香る 礫浦を思ひ出て 半泥子(花押)
60、常識茶会之図
制作年不詳 紙本墨画・軸装 縦67.8 横27.6 個人蔵
落款:常識茶曾之図 印章:白文方印「泥佛堂」
箱書(裏とも藤田など風筆) 蓋表:半泥子戯画 茶会 蓋裏:常識茶曾図 等風子
61、広永陶苑真景図屏風
制作年不詳 紙本彩色・二曲一隻 縦67.0 横140.0 個人蔵
賛:広永陶苑真景 紅梅を折るともなしに近よれる 半泥子(花押)
62、柿図 制作年不詳 紙本彩色・軸装 縦32.3 横46.0 個人蔵
賛:柿くふて寝ころぶ芝のしたしまれ 半泥子(花押)
63、自画像
制作年不詳 紙本淡彩・軸装 縦32.3 横44.5 個人蔵
落款:自画像 半泥子(花押)
半泥子は自画像をたびたび描いている。油絵、句画賛など、様々なパターンがあるが、そのほとんどは轆轤に向かっている姿である。逆立つ髪、いかつく張った肩と膝、一心不乱に轆轤をまわす表情は真剣であるが、どこか飄逸で微笑ましい。本図では軽快な筆致、墨の濃淡をいかした描法が見られ、半泥子の絵画の技量を知ることができる。
64、五黄の寅図
制作年不詳 紙本彩色・軸装 縦32.0 横42.5 個人蔵
落款:五黄ノ寅 半泥子(花押)
65、紙雛図
昭和34(1959)年 紙本彩色・軸装 縦92.8 横30.3 個人蔵
賛:おかんむり 曲げてハ見ても紙雛の 御夫婦仲ハまん丸な顔 昭和三十四年三月節句 八十二 病半泥子(花押)
箱書 蓋表:紙雛さん 蓋裏:昭和三十四年三月 半泥子
66、百合図
制作年不詳 紙本彩色・軸装 縦125.2 横18.6 石水博物館蔵
賛:光悦をひる寝の夢に伽羅枕 半泥子(花押)
「光悦を~」の句は、半泥子の俳句の代表作のひとつ。伽羅枕とは、その中で香をたくことができる引出しがついた木の枕で、半泥子も所持していた。また光悦は、半泥子があらゆる面で傾倒していた江戸時代初期の芸術家・本阿弥光悦(1558~1637)のことである。
67、茶碗図
制作年不詳 紙本墨画・軸装 縦51.2 横37.7 石水博物館蔵
賛:秋風のふくよろくろの廻るまゝ 泥子(花押)
箱書(表裏とも川喜田壮太郎筆) 蓋表:半泥子画賛秋風 蓋裏:昭和四十三年歳末記 壮太郎
68、秋草図
制作年不詳 紙本墨画・軸装 縦33.2 横24.2 石水博物館蔵
賛:窯つけハかまのなかまて秋の風 半泥子(花押)
69、南瓜図
制作年不詳 紙本彩色・軸装 縦31.4 横39.5 石水博物館蔵
賛:風鈴を夜あけの風か鳴らしゆく 半泥子(花押)
箱書 蓋表:昭和巳亥年 半泥子 蓋裏:半泥子
70、広永絵巻
川喜田半泥子・梶島一藻筆 昭和22-23(1947-8)年 紙本彩色・巻子(2巻)
巻1)幅25.0長2759.6 巻2)幅25.0長2191.8 石水博物館蔵
戦後に窯を移した津市郊外広永の、のどかな風景やそこでの出来事を、気のむくまま絵日記風に記し、二巻に仕立てた長大な巻子。巻一には、半泥子の俳句の師・梶島一藻が句画を寄せている部分も見られる。また巻二には、自作の茶道具のスケッチが説明付で描かれている。 |